女性枠について

話題人|close-up people

テーマ

  • グリーン・デジタル研究教育拠点
  • 女性研究者・女性エンジニアの育成

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特別企画

学長×NiAS女子学生

学長 黒川 不二雄

1984年長崎大学工学部助手、同大学工学部助教授、同大学工学部准教授、同大学工学部教授、同大大学院工学研究科副研究科長兼大学院生産科学研究科副研究科長、同大学院研究科グリーンシステム創成科学専攻長、同大学院研究科電気・情報科学部門長を経て、2017年長崎総合科学大学大学院新技術創成研究所特命教授に着任。同年10月から学術教授(特命教授)2023年4月から現職。

Special Discussion

今回は、
本学で学ぶ女子学生と学長との談話を通して、
グリーンデジタル研究教育拠点を目指す
長崎総合科学大学の「ひとつ先の風景」、
そして受験生注目の「女性枠」について紹介します

学びも遊びも楽しい充実のキャンパスライフ

日本は今、グリーンエネルギーへの大転換、半導体産業の再興、世界に対し巻き返しを図りたいデジタル化の推進など、大きな変革期を迎えています。

その中で理工系の人材、特に女性のエンジニア・研究者が求められています。本日ここに集まっていただいたみなさんは、まさにそのトップランナーになるべく人材です。まずは自己紹介も兼ねて大学の印象などを聞かせてください。

陸:私は中国からの留学生で、船舶工学コースの2年生です。将来は造船関係の仕事に就きたくて船舶の勉強ができる大学をいろいろ調べた結果、この大学が一番いいと思って選びました。留学生はクラスで私1人ですが、先生もクラスメイトも優しくて、楽しい学生生活を送っています。

長迫:生命環境工学コースの1年生です。熊本出身で、長総大のオープンキャンパスで生命学概論の市瀬先生の授業を体験して興味を持ち、この大学を選びました。入学して2ヶ月ですが、山で生物の調査をしたり、先日の研修旅行では海でゴミ拾いを行い、そのゴミを調べて、どのようなことが人の生活環境に対して影響与えているのかなどを調査したり、楽しい大学生活です。

山口:電気電子工学コースの1年生です。もともと物理が好きで電気関係に興味があったので、電気のことを幅広く学べるこの大学を選びました。化学が苦手だったので、理科が一科目で受験できてすごく助かりました(笑)。

入学してみたら数学の授業が多くて…1コマが長くて大変だけど、授業はすごく楽しいです(笑)。でも理系だけでなく、歴史学などの授業も面白くて、幅広い知識を身につけられるので入学して良かったと思っています。

永尾:医療工学コースの4年生です。今は病院の機械を扱う臨床工学技士の免許を取るための勉強に力を入れています。機械好きなので、実際に機械を使ってやる授業が一番好きです。学生数がそれほど多くないので、先生たちと距離が近く、いろんなことを丁寧に教えてもらえるところがいいと思います。

白濱:建築学コースの4年生です。建物の構造や、環境・設備および施工について総合的に学んでいます。好きなのは設計・製図の授業。自分のアイデアを生かしながら、今あるいろんな建物を参考に製図するのが、大変だけど楽しいです。

ゼミでは空き家の調査を行っています。長崎は斜面地なのでそこに空き家が多く、どういう問題がありどうしたら解決できるか、空き家をいかに活用できるかなどを、地元の自治会の方などと一緒に課題解決に向けて調査・研究を行っています。空き家問題は日本全体の問題でもあるので、とてもやりがいを感じています。

田中:マネジメント工学コースの2年生です。いろんな企業を題材にして経営戦略について学んだり、実際に起業した人の話を聞くなど、経営や経営を取り巻く環境について幅広く学んでいます。好きな授業はエクセルを使ったデータサイエンス実験の講義で、高校の時にもパソコンの授業はありましたが、大学の講義は全く違う面白さがあります。

森:知能情報コースの2年生です。コンピュータのシステムや人工知能(AI)について学べるコースなので、最先端の知識をたくさん吸収して、卒業後の仕事に生かしたいと思っています。また、コンピュータのシステムや情報についてだけでなくて、デザインについても学べるところも良かったと思っています。

福田:機械工学コースの2年生です。機械工学コースは、ロボット工学プログラムと機械システム工学プログラムに分かれていますが、私はどちらも興味があるので両方を受講しています。得意とはいえませんが、機械設計製図で製図を完成したときの達成感が好きです。

自然に囲まれ、ゆったりとした環境で学習しやすく、講義内容も充実しており、理解できなかったことは直接、教授に聞くことができるので安心して次の講義に進むことができています。

授業以外でいいところ、楽しい時間については?

長迫:いろんなサークルがあるのがいいですね。私はバドミントン部のマネージャーをやっていますが、先輩も同級生も優しくて、とっても楽しいです。 学食はおいしいけど、男子学生向けに多めなので、女性用は量を減らして価格もその分少し下げてもらえるとうれしいです(笑)。

永尾:私も1年の頃はサークルにいろいろ入っていて楽しかったです。特に百人一首のサークルは、大会などには出なかったのですが、一番楽しかったです。今は弓道のサークルで汗を流しています。運動できて気持ちいいし、集中力も上がった気がします。

白濱:私は学園祭(造大祭)の実行委員をやったことで、たくさん友人もできたし、社会との関わりも持てていろいろ勉強にもなり、大学は人として成長できる場でもあると実感しました。

では学長から、本学が進めるグリーン・デジタル研究教育拠点について話していただけますか。

学長:みなさんが楽しく充実した大学生活を送っておられるようでうれしく思います。本学は、デジタル、グリーン、環境、再生エネルギーなどの分野に早くから取り組んでいて、学内にスマートハウスがあるのを知っていますか?あれは10年前、文部科学省の「緑の知の拠点」事業に本学が選定されて建てられたものです。

次世代の社会は、デジタル技術を用いて、エネルギーを消費するだけでなく、地域自体がエネルギーを作り、蓄え、賢く使う、そのような持続可能性が必要です。その社会実現のために様々な環境対策を実践しているのが「グリーン社会」であり、これらを総称して「グリーン・デジタル」と呼びます。本学はグリーン・デジタル研究教育拠点と地域共創を目標に掲げ、「ひとつ先の風景」をテーマに運営を進めています。

本学には、学生一人ひとりの個性や適性に対応し、きめ細かにサポートする教育体制が備わっています。コンピュータやAIなどの先端分野、地域に根ざした建築やヘルスケアなどを学べる多種多様な8コースです。みなさんのやりたいことを叶えられる大学です。また、最先端の教授陣によって、次世代の新しい社会の風景を夢見て、想像・実現する人材を育てています。

来年度以降の入学者選抜より導入される「女性枠」についてお聞かせください。

学長:近年、情報系や工学系の知識を持った人材が求められている反面、社会全体で見ると理工系の学生が少なくなっています。そこで国は、現在35%にとどまっている自然科学分野を専攻する学生の割合を50%まで引き上げることを目指しています。さらに上場企業においては女性役員の比率を2030年までに30%以上とする目標を掲げていますので、優秀な女性社員の獲得に力を入れています。

そこで本学でも女性エンジニア・研究者を育成するために、2025(令和7)年度以降の入学者選抜より総合型選抜に「女性枠」を導入することといたしました。DX・GXに強い関心を持ち、将来ビジョンや学修意欲が明確で、論理的思考力やコミュニケーション能力のある人を募集します。

募集人員は工学部5名、総合情報学部3名とし、合格者は特待生として採用されます。また、長崎県を活性化する優秀な人材の育成のため、特待生制度に「長崎県地域枠」も新設します。

山口:理系の企業で女子が求められているとは聞いていたけど、国や大学がそこまで力を入れているとは知らなかったので勉強になりました。良い取り組みだと思います。

田中:私は高校が女子校だったこともあり、大学に入ってクラスに女性が少なかったので慣れるまでは少し寂しかったです。だから女子枠などを導入して、女子学生が増えるのはとても良いことだと思います。

森:同性同士でしか話せないこともあるので、女子学生を増やす取り組みがあるというのはうれしいです。「女性枠」があるということで、受験するきっかけにもなると思います。

福田:工学部は男性のイメージが強いので、女性には向いていないという意識が多くの人にあると思います。進学にあたって、男女の比率は女子学生にとって重要な点の一つだと思うので、女性枠を導入することに大いに賛成です。

学長:これからどんどん女性を増やそうと思っています。まず、受験生に理工系の良さをわかってもらうこと、そしてコースや科目をさらに魅力あるものにし、快適に過ごせるように大学の環境整備も進めていく予定です。

大学院も実質無料化に

女性枠や長崎県地域枠のほかに、大学院も県内で初めて実質無料化に踏み切ったそうですが、その理由を教えてください。

学長:理工系の人材は企業から求められていますので、本学で学び卒業すると、卒業後の就職先はたくさんあります。しかし、高度技術者になるためには大学4年間だけではなく、大学院で研究することが必要で、大学院修了するとさらに就職先は多くなります。例えば、中・高の教師を志望されている方が大学院に進み、広い知識を得て、企画力を養うことは、教科指導力の向上につながると思います。

そこで、本学では県内で初めて、大学院の入学金および授業料の減免による実質無料化を導入しました。長崎県に存立する唯一の私立理工系大学として、「ふるさと長崎」の地域経済活性化のために、長崎県に残る高度技術者人材を育て、長崎県に貢献したいと考えています。いったん社会に出て、大学で学び直したい人も無料です。経済的な障害を取り除いた上で、いろんな道を示してあげたいと思っています。

学生のみなさんは、卒業後の進路についてどのように考えていますか。

陸:卒業後は中国に帰って、造船関係の企業に入り、大学で学んだことを生かしたいと思っています。中国でも理系の女性は少ないですが、求められている人材だと自信を持って社会に羽ばたきます。

長迫:中学・高校の理科の先生になって、環境問題を改善するにはどうしたらいいかなど、生徒と一緒に問題を解決していきたいと思っています。学長の話を聞いて、大学院を修了して先生になる道も選択肢の一つになりました。

山口:入学したばかりで将来のことはわかりませんが、大学院卒だと自分の専門分野を活かして有利に就活ができるし、物理が好きで、研究にも興味があるので、電気電子工学の知識をさらに深めるために大学院に進んで、もっと学びたいと思っています。

永尾:私は、大学院に行くか、就職するか迷っています。臨床工学技士を目指していますが、実は人間相手の病院ではなく、動物病院に就職したいと思っています。どこの大学も獣医の臨床工学は無いのですが、ここではゼミの土居先生がその方面の研究に尽力されているので、将来のことも先生に相談しながら決めたいと思っています。

白濱:就職は希望していた不動産会社に決まりました。住宅の設計を担当する予定です。住宅関連の職場も男性が多いところが多いので、女性がもっと建築の分野にも増えるように期待しています。

田中:元々はスポーツ関係の仕事に就きたくて、スポーツマネジメンの科目がある今のコースを選択しました。3年生でその講義が受けられるので今から楽しみです。株などにも興味があるので、今はファイナンシャルプランナーの資格を取るために勉強中です。

森:大学で学んだことを生かして、女性の人材が求められているエンジニアやセキュリティ関係の仕事に就ければいいなと思っています。

福田:女性ならではの視点を生かして、人の役に立つものづくりに貢献できたらいいなと思っています。例えば、効率だけ求めるのではなく女性特有の身体的特徴に考慮したものややさしさや癒しをもてるようなものづくりに挑戦していきたいと思っています。

学長:いろんな夢や希望があっていいですね。今は女性研究者やエンジニアなどの人材が不足していることから、就職などの場面で多く求められますが、年数が経つとそれも普通になってきます。その時に君たちがトップランナーとしてどういうふうに後輩を指導していくか、今から楽しみです。せっかく風が吹いているんだから、それに乗れるように頑張ってください。

最後に、学生のみなさんにエールをお願いします。

学長:社会では大谷選手みたいに二刀流が好まれる傾向があります。仕事面でも一つのことしかできない人よりも、専門以外のこともできる人が好まれます。また、人生においても、仕事も趣味も両方楽しめる生活が望ましいと思います。映画鑑賞やスポーツ、ゴルフ…何でもいいです。一つのことに凝り固まることなく、二つとか三つのことを一緒にやっていける人であってほしいですね。

みなさんには楽しい未来が開けています。たまには落ち込むこともあるかもしれないけど、そんなの長くは続かないです。落ち込んだら、落ち込んだ分だけプラスがあると思ってください。それに、プラスだけじゃなく悪いこともある方がいい、人生には落ち込むことも必要なのです。

みなさんは卒業後、希望する企業に就職し、充実した人生を送るでしょう。その際には、趣味なども楽しんで、余裕のある豊かな生活を送ってください。そのベースになるのが大学時代。自然環境と人々の生活が変わっていく中、本学で幅広く役立つ知力と技術を身に付け、自分なりの「ひとつ先の風景」を作っていきましょう。

大学で困ったことがあったら遠慮なく学長室に来て、私に相談してください。もちろん困ったことがなくても、話したくなったら気軽にたずねていいですよ。みなさんが楽しい大学生活が送れるように、いつも応援しています。