学長メッセージ
現在、日本はグリーンエネルギーへの大転換、半導体産業の再興、世界に後れを取ったディジタル化とDX(ディジタルトランスフォーメーション)の推進、ガソリン車からEVへのシフトといった多くの課題に直面しています。これらの課題は九州、長崎にも大きな影響を及ぼしており、それに向けての早急な解決が望まれています。
長崎総合科学大学は、今から80年前、当時の長崎の主要産業であった造船業の人材育成を担うために設立されました。その生い立ちからも本学は長崎の地から先頭に立って、長崎、九州といった身近な地域、さらには日本、世界に向かってこれらを解決する技術を研究開発し、多くの人材を教育して送り出すという責務があると考えています。
そのためには、それらの課題に向かって果敢に挑戦する教授陣の存在が重要です。長崎総合科学大学には、海洋エネルギーやバイオマス資源の活用と太陽電池を含んだそれら再生可能エネルギーの高効率電力変換・マネジメント技術、船舶や自動車、衛星の電気推進(EV)化を始めとする最新の技術開発、三次元積層集積回路などの先端半導体技術、高エネルギー物理学などの基礎科学、AIを始めとした知能情報技術といった研究開発で先導的な役割を果たしている多くの教授陣がおられます。その指導の下に多くの優秀な学部生、修士および博士課程の学生が勉学と研究に励んでいます。
本学の学部とコースの構成を見て分かるように、船舶、機械、建築各工学といった伝統的なコースから電気電子工学、マネジメント工学、知能情報といった新しい技術分野、さらには最新の生命環境工学、医療工学まで工学系を網羅しています。大学院の修士課程は、生産技術学専攻、環境計画学専攻および電子情報学専攻の3専攻に集約され、博士課程の総合システム工学専攻へと発展し、先端産業を引っ張っている高度な技術者を多く輩出しています。また、研究者として、本学を始めとする大学の教授として活躍されている方も多くいます。長崎総合科学大学は学部から大学院の修士課程、博士課程までを備え、日本の科学・産業をリードする分野を網羅し、勉学と研究により工学という学問を一貫して学べる最高学府です。
このような教授陣と教育体制のもと、長崎総合科学大学は、地元や国内の産業、さらには世界に向かって重要な役割を果たす人材を教育するために次のような「建学の精神」を定めています。
- 自律自彊 Self-sufficiency and Effort 〔自己の確立〕
- 実学実践 Pursuit of Practical Science 〔ものつくりとしての実行力〕
- 創意創新 Originality and Creativity 〔ものまねでない新技術の開発力〕
- 宇内和親 World Peace 〔世界的視野の保持〕
また、「大学の理念」として、
- 「人類愛の存するところ技術への愛もまた存する
(Where there is human love, there is love for technology )」
を掲げています。
つまり、学生一人ひとりの個性や適性に対応した教育を実践し、各々の学びをきめ細かにサポートしていき、少人数教育による「モノづくり人材」の育成の徹底の上に、先端科学技術に関する教育・研究の推進を目標にしています。勿論、豊かな人生を形成するためにキャンパスライフを楽しみながら勉学することも大事であり、サークル活動などもしっかりサポートしています。
本学へ入学される皆さんがそれぞれの「夢」を叶えられるように「知力」という大きな力を得られることを願っています。そして、私たちと共に工学を通じて安心でサステナブルな社会を創って行きましょう。
黒川 不二雄
研究科長メッセージ
長崎総合科学大学大学院は、大学卒業者や一定以上の実務経験者が研究を通してより深く学問を追求し、世界をリードする技術者・研究者に育っていただけるよう、最高の教育と研究環境を提供することを目指して設置されました。
修士課程と博士課程を有し、修士課程には生産技術学専攻、環境計画学専攻、電子情報学専攻の3専攻、博士課程では総合システム工学専攻があります。各専攻の研究内容は長崎総合科学大学のルーツともいえる造船分野とその派生分野をはじめ、海洋工学分野、エネルギー工学分野、さらにはロボット工学とAI応用分野、そして生命工学や素粒子物理学等の先端基礎科学分野まで、多種多様です。
本学の研究は国内トップクラスのレベルで、地域に密接に結びついた研究や海外との共同研究を通した研究など、特徴のある研究ばかりです。大学院生は興味がある分野の教員を選び、研究者の卵として研究グループの一員となって研究に臨みます。教員あたりの学生数は低く抑えられ、少人数単位での講義・ゼミを通して個々人が納得いくまで議論・実験などを行いながら研究を進めるというスタイルです。国内外での学会発表や留学のチャンスも多くあり、自分の力を思う存分試すことができます。
政治経済においてこれまでの常識は通用せず激的に変化し二極化に向かう世界において、科学技術によって新たな技術を育み、さまざま社会問題の解決や新たな知の発掘を力強くリードしていけるような技術者・研究者を共に目指しましょう。
大山 健
大学院の構成
本学大学院には3つの専攻、12の系列を有する「工学研究科修士課程」と、さらにその上に「博士課程総合システム工学専攻」を設置しています。
修士課程(2年課程)
生産技術学専攻
生産技術学専攻では、船舶・浮体構造物・海洋機器・飛翔体・原動機・機械・建築構造物・基礎構造など、種々の分野に共通する構造工学・流体工学の理論について考究するとともに、両分野に及ぶ複合領域での工学上の基礎問題・応用問題、さらに高度なコンピュータ利用技術について教育と研究を行います。この教育と研究を通じ、以下のような研究者・技術者としての能力の獲得を目指しています。
- 構造・流体の両分野の幅広い知識を有し、それをモノづくりに生かせる能力
- 構造・流体の両分野の複合領域での工学上の基礎を理解し、研究開発できる能力
- コンピュータを駆使し、高度な解析ができる能力
- 他分野の専門家とも連携して成果を出せるコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力
生産技術学専攻の4系列
材料工学 | 構造材料・機械材料およびその溶接継手に関して、材料強度学・破壊力学の観点に立って研究します。また、鉄筋コンクリート構造物の耐震性・耐久性向上対策などについて研究します。材料に及ぼす環境因子の影響を定量化し、機能性の向上および評価法について解析的・実験的研究を行います。 |
構造工学 | 板・骨組構造・薄板構造物・建築鉄骨など溶接構造物の、新しい概念を導入した構造解析システムや信頼度の高い総合設計法の開発に関する研究を行います。また、構造物の極限強度の新評価技術や損傷解析手法の開発に関する基礎研究を行います。 |
海洋流体工学 | 気象・海象・海流・海洋波などに関する解析的研究を行うとともに、船舶や海洋構造物の流体工学的扱い、波浪中における運動などに関する解析的・実験的研究を行います。船舶を中心とする浮体の安定性・操縦性および波浪中の運動性能とその制御に関する解析的・実験的研究を行います。 |
機械流体工学 | 流体の流れ、エンジンの作動物質の物性およびエネルギー交換・変換・移動理論を研究すると共に、各種エネルギー源を有効に利用する原動機の研究を行います。 |
環境計画学専攻
環境計画学専攻では、生活環境や生態環境、あるいは地域活性化や政策運営といった都市・地域問題からエネルギーや自然環境保全にいたる環境問題の分野を対象として、総合的かつ学際的な観点から、環境共生型の新しい計画理論や環境デザイン手法の開発などをめざす教育と研究を行います。この教育と研究を通じ、次のような研究者・技術者あるいはデザイナーとしての能力獲得を目指しています。
- 環境計画に関する専門的でかつ学際的な幅広い知識を有し、それを企画・計画・設計に生かせる能力
- 現代的な種々の環境問題に対する研究開発や調査分析と企画立案ができる能力
- コンピュータを駆使し、高度な解析やプレゼンテーションができる能力
- 他分野の専門家とも連携して成果を出せるコミュニケーション能力やシステム構築能力
環境計画学専攻の4系列
環境デザイン学 | 望ましい環境のあり方をデザイン方法や設計手法を通して探究します。また、実際的なプロジェクトにおいて設計を行い実現を目指す教育研究を行います。 |
居住環境計画学 | 人間の居住環境を安全でかつ快適に保全し創造することを目的に、計画的かつ政策論的 に教育研究をおこなうとともにその成果を特定地域の具体的な課題に即して立案提示す るかたちで実践します。 |
環境共生 システム工学 | 工学的、自然科学的な方法論により、人間と自然界が共生するための適正な環境システムの構築をめざした教育研究を行います。 |
社会情報学 | 人文科学、社会科学的な方法論により、環境のあり方やその保全の方法、考え方を探究 し、さらには地域の文化や経済の振興、活性化を意図した研究教育を実践します。 |
電子情報学専攻
電子情報学専攻では、近年の高度情報化社会において特に注目されているネットワーク関連技術と、その応用情報システムとしてのヒューマンコミュニケーション技術に関して広く教育と研究を行い、これを活用することのできる人材を養成します。この教育と研究を通じ、次のような研究者・技術者としての能力獲得を目指しています。
- 電子工学から情報工学まで幅広い基礎知識と応用技術を兼ね備えた実践的能力
- 専門領域の探究とともに、システムとしての総合的な視野に立った研究開発能力
- 電子情報技術と人間との関わりを的確に理解し、新しい領域に挑戦する能力
- 他分野の専門家とも連携して成果を出せるコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力
電子情報学専攻の4系列
電子デバイス学 | 電子情報系の基礎的要素である半導体デバイスを中心に、その基礎から実際的な応用技術までを習得することを目的とし、バイポーラ・MOSデバイス、光半導体、量子効果デバイスなどに関する研究を行います。 |
医用工学 | 人体の機能において、心臓血管系や筋肉骨格系の運動などは機械的な機能であり、また、高度に発達した医療機器は電気電子、機械工学によってもたらされた。本分野では、医療、福祉、介護分野における機器の更なる発展を目指した工学の研究を行います。 |
計測制御学 | 物理現象のセンシングに必要な、信号の変換、伝送、信号処理、ならびに計測制御の応用領域としての知能ロボット、生産機械の自動化システムに関する研究を行います。 |
情報システム学 | 人間と機械とを、ハードウェア、ソフトウェアの両面から結びつける手段としてのマルチメディア応用技術や、人工現実感に関する研究を行います。 |
博士課程(3年課程)
学部4年+修士2年+博士3年=計9年の学術探究は、 科学・技術分野における21世紀のリーダーを育みます。
博士課程は、これまでの修士課程における経験と実績を重視しつつ、専門領域における資質をより高度化し、多様な分野に対する広い視野とそれに対応できるような能力を持つ高度技術者の育成を目標とします。また、この課程での教育・研究をとおして、現代社会での必要な情報の収集とその処理能力を高め、自立して研究・業務活動に従事できる能力と高度な専門的知識を修得できるようにします。
生産技術コース
機械システム・車輛・航空機・宇宙ステーション・船舶・海洋機器・建築物等の各種構造物を構築・生産および運用するためには、共通する工学の基礎理論およびそれぞれの構造物に特有な生産技術を確立しなければなりません。
本コースでは、各種構造物の構築・生産と運用に係わる基礎理論と生産技術に関して教育・研究を行います。すなわち、構造物を形成する上で欠かすことのできない構造工学の分野から、構造物を構成する構造材料の機能、構造物の安全性、信頼性、および構造物の動的設計法等について、また、移動する構造物に欠かすことのできない流体工学の分野から、海上運航体(船舶)の抵抗推進性能・運動性能評価、海上での各種海洋構造物の性能評価および内燃機関のエネルギー交換・変換・移動等について教育・研究を行います。
環境技術コース
個々の生活レベルである地域環境から全生物の運命共同体としての地球環境に至るまで、今やいわゆる環境問題への対処は人類共通の課題となりつつあります。本コースにおいては、こうした広い視野に立っての相互批判的な問題の解読能力の育成を基盤に捉えつつ、主として、
- 人間居住環境の構成と計画・デザイン
- 環境共生システム技術
- 社会的・歴史的環境の保全活用計画
という3つの領域における基礎的かつ応用技術的な教育・研究を行います。
情報技術コース
21世紀は光技術に支えられた情報通信網が地域や国境を越え、しかも文化や政治・経済をも超えた新しいネットワーク社会を構築するといっても過言ではありません。
本コースでは、高度情報化社会の基盤となる電子情報系の基本的要素である電子デバイス学、光通信の主要な技術要素となる光工学、物理現象のセンシングシステム技術や計測制御の応用技術および人間と機械とをハードウェア・ソフトウェアの両面から結びつけるためのマルチメディア応用技術や人工現実感等について教育・研究を行います。
工学研究科の
教育理念・目標
教育理念
人類社会の持続的発展と自然との共生に貢献する“ものづくり”のための高度な工学教育・研究拠点として、工学の幅広い分野における専門的・学際的知識を修得し国際的に活躍できる自立した高度専門技術者・研究者を育成するとともに、独創的研究の遂行により次世代の革新的科学技術の推進に貢献する。
目標
工学の幅広い分野における専門的・学際的知識および高度技術を修得させ、課題探求・解決能力および国際的・先導的な研究開発能力を修得させる。
アドミッションポリシー
大学院工学研究科は、先端的、専門的な知識・技術を修得し、高度な専門的力量 を備え、自立して人類の生活に役立つ“ものづくり”の研究・業務活動に従事できる技術者の育成を目的とします。そのために、本研究科は次のような学生を求めます。
- 学部における専門基礎知識を修得した、あるいは相当する学力を有する人
- より高度で先端的な専門知識・技術に対するチャレンジ精神と勉学意欲が旺盛な人
- 高い志を持ち、専門知識を活かした社会貢献を目指す人
ディプロマ・ポリシー
(修士課程)
「工学研究科 学位授与の方針等」
修士課程
- 本学において授与する修士の学位は次の通りとします。
工学研究科 修士課程 修士(工学)・修士(学術) - 学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)
所定の期間在籍し、工学研究科の教育理念・目標に沿って設定した修士課程の授業科目を履修して、基準となる単位数(30単位)以上を修得すると共に,修士論文の審査及び試験に合格することが、修士(工学)・修士(学術)の学位授与の必要要件となります。修士論文の審査及び試験は、その論文が
- 研究の学術的意義
- 新規性・創造性
- 応用的価値
を有しているかどうか、また、修士学位申請者が
- 研究の推進能力
- 研究成果の論理的説明能力
- 研究分野に関連する幅広い専門的知識
- 学術研究における倫理性
を有しているかどうか等を基に行われます。
カリキュラム・ポリシー
(修士課程)
長崎総合科学大学大学院工学研究科修士課程では、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)に示した人材を育成するために、共通科目(4単位以上)、専攻専門科目(12単位以上)、自由科目(6単位以上)、演習Ⅰ(4単位)、演習Ⅱ(4単位)から構成される教育課程を編成・実施します。修了要件は、上記30単位以上の修得及び研究指導を受けた修士論文の審査及び最終試験に合格することです。共通科目、専攻専門科目、自由科目はシラバスに明示された多様な形式により、特別研究Ⅰ、特別研究Ⅱは主及び副指導教員による日常的な指導により行われます。ディプロマ・ポリシーの各項目の達成は、以下に示す体系的教育をもって実現します。
修士課程は学際的な教育研究の推進のため生産技術学専攻、環境計画学専攻、電子情報学専攻の3つの専攻で構成され、それぞれの専攻内では各専攻分野に応じた専門科目と専攻共通の共通科目が用意されています。
各専攻の専門科目は系列ごとに整理されており、自身が所属する系列の科目を中心に、指導教員の指導の下、所属する専攻に設けられた科目及び他の専攻に設けられた科目の中から希望する科目を選定して履修し、各専門分野についての知識と能力、幅広い学際的な知識を身につけます。
共通科目としては、数理科学科目、環境エネルギー工学科目、知的財産権科目、プレゼンテーション科目があります。これらの科目を履修することによって
- 数学・物理等の基礎知識
- 英語によるコミュミケーション能力
- 産業・知財・環境等の知識
を学ぶとともに、
- 社会の発展に貢献する意志
- グローバルに活躍する視点
を養います。
生産技術学専攻の
カリキュラム・ポリシー
生産技術学専攻では、持続可能な社会を実現するために、種々の分野に共通する構造工学・流体工学の基礎理論を修得させるとともに、両分野における統一的視点に立って工学上の基礎問題・応用問題を解決できる能力を持ち、さらに、高度なコンピュータ利用技術を習得・活用できる人材を育成することを目的としています。
そこで、1年次では、専門にこだわらずさまざまな分野の科目を履修することで、幅広い技術視野と見識を身につけると共に、国際社会で活躍するために英語によるコミュニケーション、プレゼンテーション能力を身につけます。2年次では、1年次で学んだ幅広い工学知識と専門教養的な知識を更に深めるために、1年次より通年で修得する演習科目を配置して、先進的な技術力・研究能力を修得するようにしています。これらにより、各分野の専門知識と技術を確実に修得し、船舶・海洋、機械工学にわたる幅広い知識を身につけるとともに専門的な研究推進能力を修得できるようにしています。
教育目標
- 構造工学・流体工学及び複合領域での課題探求能力の修得
- 高度なコンピュータ利用技術の修得
- 専門的な研究推進能力と専門分野に応用できる教養の修得
環境計画学専攻の
カリキュラム・ポリシー
環境計画学専攻では、環境/経済/社会/安心・安全の各分野を総合的にバランスよく発展させ、事業者・市民・行政の相互連携による持続発展可能な社会を構築していくために、景観や居住環境のデザイン・防災計画、環境共生のための生態・環境分析技術、企業や地域経営手法の基礎理論を修得させるとともに、社会情報の活用能力の修得と実践的なフィールドワークによって多様な社会における経験を得て、それらを活用できる人材を育成することを目的としています。
そこで、1年次では、専門とする分野だけでなく、環境計画にとって必要となる幅広い分野の科目を履修するとともに、地域社会と関係をもつために必要となるコミュニケーション及びプレゼンテーション能力を身につけます。2年次では、1年次で学んだ環境計画学の知識と専門分野に応用できる教養をさらに深めるために、1年次より通年で修得する演習科目を配置して、先進的な技術力・研究能力を修得するようにしています。これらにより、各分野の専門知識と技術を確実に修得し、環境/経済/社会/安心・安全にわたる幅広い知識を身につけるとともに専門的な研究推進能力を修得できるようにしています。
教育目標
- 環境/経済/社会/安心・安全にわたる幅広い知識の修得
- 社会情報活用能力の修得と実践的・実務的なフィールドワーク経験
- 専門的な研究推進能力と専門分野に応用できる教養の修得
電子情報学専攻の
カリキュラム・ポリシー
電子情報学専攻では、エネルギーや環境に配慮した持続可能な社会を実現するために、種々の分野に共通する電気・電子工学、計測・制御工学および情報・システム工学の基礎理論を修得させるとともに、これらの分野における統一的視点に立って工学上の基礎問題・応用問題を解決できる能力を持ち、さらに、数理科学を応用した高度なプログラミング技術を修得・活用できる人材を育成することを目的としています。
そこで、1年次では、専門にこだわらず様々な分野の科目を履修することで、幅広い技術視野を身につけると共に、国際社会で活躍するために英語によるコミュニケーション、プレゼンテーション能力を身につけます。2年次では、1年次で学んだ工学知識と専門分野に応用できる教養をさらに深めるために、1年次より通年で修得する演習科目を配置して、先進的な技術力・研究能力を修得するようにしています。これらにより、各分野の専門知識と技術を確実に修得し、電気・電子工学、医療工学および情報・システム工学にわたる幅広い知識を身につけるとともに専門的な研究推進能力を修得できるようにしています。
教育目標
- 電気電子工学・医療工学・情報システム工学および複合領域での課題探究能力の修得
- 数理科学を応用した高度なプログラミング技術の修得・活用
- 専門的な研究推進能力と専門分野に応用できる教養の修得
以上の学修成果の評価は、基本的に共通科目及び専攻専門科目では修得した知識の理解度並びに説明能力により、「演習Ⅰ」、「演習Ⅱ」では知識・専門的技術を応用して研究を計画・実施できる能力の総合評価により、厳格な成績評価(5段階評価、GPAの活用)を行います。また、修士論文は、本研究科の定める学位審査基準に基づき、本研究科で選出された審査委員(主査1名、副査2名以上、学外審査員を含むことができる)により厳格な審査及び学位論文発表会において最終試験を実施し、学位論文としての合否判定を行います。
ディプロマ・ポリシー
(博士課程)
「工学研究科 学位授与の方針等」
博士課程
- 本学において授与する博士の学位は次の通りとします。
工学研究科 博士課程 博士(工学)・博士(学術) - 学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)
所定の期間在籍し、工学研究科の教育理念・目標に沿って設定した博士課程の授業科目を履修して、基準となる単位数(10単位)以上を修得すると共に博士論文の審査及び試験に合格することが、博士(工学)・博士(学術)の学位授与の必要要件となります。博士論文の審査及び試験は、その論文が
- 研究の学術的意義
- 新規性・創造性
- 応用的価値
を有しているかどうか、また、博士学位申請者が
- 研究企画・推進能力
- 研究成果の論理的説明能力
- 研究分野に関連する高度で幅広い専門的知識
- 学術研究における高い倫理性
を有しているかどうか等を基に行なわれます。
工学研究科(博士課程)では、その教育理念に基づき、工学の幅広い分野における進歩に寄与する専門性と、人類社会の持続的発展と自然との共生を総合的に捉えることのできる倫理観、学際的かつグローバルな視点をもって国際的・先導的に活躍できる新しい高度専門技術者を育成します。
本研究科を修了し、本学が送り出す博士(工学)並びに博士(学術)の身につけるべき能力・態度の到達基準は、次のとおりです。
- 専門知識・技能
自然科学と工学に関する深い理解を基盤として,それぞれ専門分野に関するトップレベルの知識・技術を習得している。 - 課題探求・解決能力
創造的な課題探求能力と高度な問題解決能力を有している。
持続可能な社会の実現を推進するための実践的能力、学際的な発想力を有し、プロジェクト研究等で指導力を発揮することができる。 - 倫理観・社会的責任
社会や科学技術の発展に貢献するために,技術者としての広汎かつ高度な知識と普遍的倫理観を有している。 - グローバルな視点
論理的,学際的な思考を行い,それを広くグローバル社会に展開することができる。
カリキュラム・ポリシー
(博士課程)
長崎総合科学大学大学院工学研究科博士課程では、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)に示した人材を育成するために、特別研究Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ(各2単位)、特別演習(2単位)から構成される教育課程を編成・実施します。修了要件は、上記10単位以上の修得および研究指導を受けた博士論文の審査及び最終試験に合格することです。特別研究Ⅰ、Ⅱ、Ⅲは指導教員による日常的な指導によって実施されます。
ディプロマ・ポリシーの各項目の達成は、以下に示す体系的教育をもって実現します。
- 専門知識・技能
「特別研究Ⅰ」では、博士論文の研究テーマを設定し、研究計画を立案・遂行するために必要とされる専門分野におけるトップレベルの知識・技術、多角的な評価能力を身につけます。 - 課題探求・解決能力
「特別研究Ⅱ」では、持続可能な社会の実現を推進するための実践力、学際的な発想力、創造的な課題探求能力と高度な問題解決能力を身につけます。「特別研究Ⅲ」では、博士論文の研究を遂行し、論文としてまとめ、発表する上で必要とされる能力及び個人が行うシーズ研究・萌芽的研究をチームとしてのプロジェクト研究等を進めていく上で必要とされる能力を培います。 - 倫理観・社会的責任
「特別研究Ⅱ」「特別研究Ⅲ」で、博士論文における研究を遂行する中で、技術者としての普遍的倫理観を身につけます。 - グローバルな視点
博士論文の研究を国際学会が発行する論文誌及び主催する学術集会等で発表し、国内外の研究者と活発に議論を行うことで、実践的なグローバルマインドを身につけます。
以上の学修成果の評価は、「特別研究Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」では、知識・専門的技術を応用して研究を計画・実施できる能力の総合評価により、厳格な成績評価(5段階評価)を行います。また、博士論文は、本研究科の定める学位審査基準に基づき、本研究科で選出された審査委員(主査1名、副査2名以上、学外審査員を含むことができる)により厳格な審査及び最終試験を実施し、さらに公聴会を行うことで、学位論文としての合否判定を行います。
インタビュー
大学院生
高見 佳奈子 工学研究科修士課程生産技術学専攻(構造工学) 2年
出水中央高等学校(鹿児島県)出身
工学部工学科船舶工学コース 2022年3月卒業
本学では、各コースで学んだ専門分野を追究したいと考える学生が大学院へ進学するケースが少なくない。船舶工学コースで学んだ高見さんもその一人だ。高見さんは、高校時代はなんと文系クラス。大学は英米学科など国際関係分野を志望していたが、進路を変更。本学の船舶コースへ入学した。本学出身という父親の「理系こそ英語が大事で、船は世界を相手にする分野でもある」という言葉に心が動いたからだという。また、「兄も本学の船舶コースで学び、大学院へ進学しました」と付け加える。
学部生時代は学習面の不安もあったが、学んだことのない数学Ⅲもレベル別のクラスで基礎から学ぶことができて、その後の専門学習も支障なく取り組めたと話す。「あえて、あらゆる数学科目を履修しました」とは驚きだ。そして4年後、大学院へ。現在は、学部生時代に研究した「AIによる造船設計の研究」を学会で発表すべく論文を整えながら、同時に修士の研究として「進化論に基づく遺伝的アルゴリズムを用いた船舶設計の最適化」に取り組んでいる。目指すのは、減少する若手技術者の負担を減らすためのシステム開発。「設計段階での困難な業務を、遺伝的アルゴリズムを用いてより探索範囲を狭めて検討できるように、大型船の梁や桁など構造(強度)の最適化を図るシステムです」と説明する。
経験豊富な教授陣、整備された実験施設など、本学の造船工学の強みにも触れた高見さん。今後は、その環境を活かし、完成度の高い修士論文を書き上げるはずだ。修了後には、「数少ない女性エンジニアとして造船業界で働きたい」と目を輝かせる。最後に、「教員免許も持っているので実社会で経験を積んだ後は高校教師になり、生徒に船造りの楽しさを伝えるのもいいですね」と夢も語った。