NEWS

山邊教授のグループが長崎県医工連携拠点形成支援事業に採択される

 長崎市出島町に今秋開設した大学連携型企業家育成施設「ながさき出島インキュベータ(D-FLAG)で、本学の山邊時雄教授(大学院新技術創成研究所所長)を中心とした産学連携グループが、世界レベルでの医療技術の開発に取り組む。
 これは「平成19年度 長崎県医工連携拠点(産学連携活動グループ)形成支援事業」に採択された「先端的医療・創薬の開発に向けた細胞・生体機能等シミュレーション研究拠点事業」で、県が活動経費の一部を支援するもの。長崎県は将来の成長が見込める「創薬」や「医療診断」など医療・福祉分野を「ナガサキ型新産業」と位置づけ、医療と工学分野の連携による産業創出に取り組んでいる。
 今回採択された事業は、量子力学、化学反応理論、分子動力学、分子シミュレーションによる材料設計等の分野で白川秀樹博士や福井謙一博士(いずれもノーベル賞科学者)とともに京都大学等で多くの研究成果を生み出してきた本学の山邊教授がプロジェクトリーダーとなり、細胞・生体等をダイナミックに可視化し、ローコストでリスク制御可能な創薬や医療等の研究開発環境を形成し、同分野の研究開発やベンチャー創出の拠点を形成しようとするもの。シミュレーション(模擬実験)は、未解決な課題があるときに有効な手段で、なかでも再現性の難しい人間の生体機能の解明や創薬の開発においては、シミュレーションは極めて有効であり、先端的な研究機関では新しい手段として開発されつつあり、今後積極的に研究開発を行っていく必要がある分野とされている。本プロジェクトの活動は「1.先端的医療のための感覚器デジタルヒューマンのシミュレーション」と「2.創薬の開発に向けた蛋白質・細胞等のシミュレーション」の大きく2つのテーマからなる。
 バーチャルリアリティ技術による可視化分野における著名な研究者である元本学教授で現在九州大学芸術工学研究院の竹田仰教授もサブリーダーとして参画し、頭蓋骨や感覚器などのVR化に取り組む。そのほか、創薬のシミュレーションなどについては、長崎県工業技術センター重光保博研究員、ベンチャー創出については、(株)長崎TLO(代表谷山絋太郎氏)及びNPO長崎県科学・産業技術推進機構(山邊教授が理事長)が参画しているほか、最先端の専門書で有名な(株)NTS(本社東京・科学書籍出版)などが参画。山邊教授らの取り組みに賛同した全国の有力研究者(大手企業・大学等)が結集し、長崎での同分野での拠点形成活動へ協力する体制が組まれており、長崎における医工連携による新技術と新産業創出へ強い期待が寄せられている。

○長崎総合科学大学大学院 新技術創成研究所
http://www.nias.jp/center/ri4/index.html
○ながさき出島インキュベータ(D-FLAG)
http://d-flag.smrj.go.jp/

山邊時雄教授(大学院新技術創成研究所所長)

山邊時雄教授(大学院新技術創成研究所所長)