地元長崎をベースにした
学びを展開し
芸術的センスと工学的力量が融合した
建築士を養成
芸術的センスと
工学的力量の融合
建築には、芸術的なセンスと、工学的な技術が必要です。そのための学習として、芸術的分野としては計画・意匠を、技術的分野としては材料・構造、環境・設備および施工を、総合的に学びます。当コースは「長崎思考」を大切にしています。長崎の街に求められ、長崎を魅力ある街に変える人材を育てると同時に、地域企業等との共同プロジェクトに取り組んでいます。
坂の街であり、また鎖国時代から海外に開かれ文化的に多様性のある長崎は、建築を学ぶには絶好の都市です。斜面の多い地形には解決すべき課題も求められており、建築的テーマが見つけやすく、建築士としてのセンスと思考の場として本学の立地は恵まれています。地域的遺産に関わる研究や、海洋建築物に関する研究、都市の省エネルギー化に関するシミュレーション実験を行っています。
コース概要
建築学コースでは、安全で安心できる建築と都市、そして文化を創造するという『建築すること』の原点をしっかり捉えた教育・研究を展開しています。
地球環境に配慮し、持続可能な循環型社会の形成を目指す21世紀型の建築技術者および住まいの専門家を育てます。
長崎の地で建築をトータルに学ぶ
地理的、文化・歴史的にも特殊な地域である長崎は、建築を学ぶには絶好の都市です。この地で、新しい建築空間・地域空間の創造再生に向けて、建築設計製図を中心とし、熱・光・音などの環境を学ぶ環境工学・建築設備、安全な建築物を構築するための材料・構造、防災等の科目、機能的かつデザイン的な知識を学ぶ建築計画・都市計画、歴史意匠など、多彩なカリキュラムを設定しています。これらの科目は、一級建築士受験資格を得られるように対応しています。
住まいの暮らしをデザインする
人生の節目にふさわしい住宅を手に入れ、そこでの暮らしをさまざまにデザインすることは、日々の暮らしを豊かに、人生を楽しくします。その基礎をしっかり築くため、住まいの歴史、住居の設計、維持管理、住宅供給の方式、そして住居環境の計画設計などを学びます。「建設する」だけでなく、「使いこなす」「長持ちさせる」視点を大切にした教育と研究を行っています。
第一線で社会を切り開く先輩から学ぶ
建築学科が創立して49年余となり、多くの卒業生が社会で活躍しています。先輩である建築家、構造デザイナー、施工技術者、行政担当者等を招いて、最新の情報を得る科目を設けており、後輩に対する親近感と実践的で臨場感にあふれた講義・演習は刺激に満ちています。
町を学びの場とする体験学習を重視する
建築学コースでは、学生と教員が協働して、地域の課題や実験に取り組み、具体的な成果を得ています。長崎は、歴史的・現代的な建築が蓄積している町、自然に富んだ地域が身近にあり、それらを訪れ、目と足と手を使う体験学習を通して、建築技術や建築への感性を学びます。さらに、海外の研修ツアーをともに企画して、出かけています。
世界、長崎の建物に学び
建物に潜む物語を考える
建築模型
建物について考えるとき、その場所に誰が何をするために建てるのか、もしくはどのような役割で建てられたのか…いろいろと思い悩んだりします。建築学コースの2年生の設計製図IAの授業では、まず模型の製作を行います。学生は小グループに分かれて、主体的に製作したい建物を選びます。例えば、世界的にも全国的にも有名な建築作品、教会堂など長崎の歴史を物語る建物、そして身近なお気に入りの建物などを各グループで話し合って決めます。その後、建物の資料を収集したり現地調査を行ったりして、模型製作のために必要な基礎情報を集めます。時間と工夫をかけた模型が完成した後は、みんなの前でプレゼンテーション。建物の模型製作の過程を通して、建物に関する知識が深まると共に、完成時の達成感や、建物造りに欠かせないチームワークの重要性や協調性を得ることができます。
建築学コース紹介
専任教員
指導した近年の
卒業研究テーマ例など
- 佐賀城本丸御殿、御小座・御風呂屋の復元
- 市営住宅の参画から地域コミュニティへ ―日見地区のコミュニティ―
- 長崎新地中華街の活性化に関する計画学的研究
- 連結式浮体型海洋建築の実海域における居住性評価
- 長崎市内のピーク電力負荷発生時間帯の分析
4年間の学び
伝統の中で建築のプロを
育てます!
1年次
大学生活に慣れると同時に、建築学分野で学ぶための基礎を学びます。「工学フォーラム」の授業は、大学生活の導入教育です。少人数のグループに分かれ担当教員と共に活動します。建築研修旅行では優れた建築物を体感しつつ、コミュニケーションをはかります。
2年次
建築計画、構造力学、環境工学など専門分野の基礎的科目を学びながら、身近な建物を自ら考え設計します。「建築設計製図ⅠA」の授業では、所定の期限内に各自の設計案をまとめ、その図面を作成します。またグループで模型製作をします。
建築設計製図ⅠA
3年次
建築海外研修
建築施工、建築設備基礎などの必修科目と、各自に応じた選択科目を学びます。「建築設計製図ⅡB」の授業では、比較的規模が大きく、機能が複雑な施設の設計を行います。「建築学海外研修」では、学生の要望を踏まえヨーロッパなど海外を訪れ建築・都市・町並みについて学びます。
4年次
これまでの学びを活かして、卒業研究に取り組みます。論文か設計から一つのテーマを選び、指導教員のもとに、卒業研究を進めます。
カリキュラム表
マッチングポイント
建築士になりたい
古民家を活かしたい
建設・住宅業界に関心がある
建物の耐震化を図りたい
街並みに興味がある
資格と支援
次の資格取得が
目指せます!
- 一級建築士
- 二級建築士
- 一級建築施工管理技士
- 技術士
- 高等学校教諭一種免許状(工業)
資格取得のための支援など
本学では、建築士の受験に必要な指定科目の授業が、バランスよく計画されています。また、建築士の試験には、学科の試験と設計製図の試験がありますが、学科の試験を意識した授業や設計製図の試験と同様に実際に図面を描く授業が数多くあります。
主な就職先
- 五洋建設(株)
- 戸田建設(株)
- 白石建設(株)
- 日本国土開発(株)
- (株)イチケン
- (株)川村工営
- JFEシビル(株)
- 大成設備(株)
- (株)池下設計
- 三菱地所コミュニティ(株)
- 大和ハウス工業(株)
- 積水ハウス(株)
- タマホーム(株)
- オリエンタル白石(株)
- (株)住宅性能評価センター
- (株)佐伯建設
- (株)未来図建設
- (株)西海建設
- (株)上滝
- (株)谷川建設
- (株)PAL構造
- (株)駅前不動産
- 長崎県庁
- 福岡市役所
- 長崎市役所
インタビュー
在学生
研究や研究室について | |
柱や梁など、人に例えれば骨格に該当する「建築構造」の研究が専門です。「地震・強風に対する建築物の安全性」、「波に対する浮体式海洋構造物の安全性・居住性評価」、「地震・津波など自然災害に対する地域防災」などがテーマ。研究では文献資料調査を行った上で、理論や数式を用いて評価手法を構築しますが、最近は、確率論手法を導入した評価を実施しています。 | 「連結式浮体型海洋建築の実海域における居住評価」というテーマで、海に浮かぶ人工島が「波によってどれくらい揺れるか、その揺れを人がどう感じるか」を研究しています。現在、気候変動による海面上昇で海辺地域の浸水被害が発生しており、対策として海上都市計画が進んでいますが、「実際に人が住めるか」という問題が生じるため解析に取り組んでいます。 |
お互いを紹介ください | |
積極性のある学生です。明るくハキハキとしているので、建築家に向いています。卒業研究は12海域を選定し、海域ごとに2種類の波長(平時・荒天時)及び4種類の波向きについて解析して、評価結果をまとめています。授業で扱わない海洋建築物が対象ですが、辛抱強く研究に取り組んでいます。一見、おとなしそうですが、内に秘めている情熱があります。 | 構造の授業で、とても真面目な先生という印象を持ちました。堅苦しいかと言えばそうではなく、にこやかに話かけてくださる先生です。試験前に、分からないことをお聞きしたら1時間ほど教えてくださいました。学生思いの先生です。研究も熱心で、朝早くから遅い時間まで研究に取り組んでおられます。その姿を見て、私も頑張らなければと思わされます。 |
今後の抱負やメッセージ | |
連結式浮体型海洋建築物における波と風の関連を研究してきたので、今後は、地震に対する構造も追究したいと考えています。学生については、自分で考え、調べる行動力などを育てていければと思います。川下さんは市役所に就職しますが、住み良い街づくりなどに学んだ知識を活かせるでしょう。今後も多くの経験を積み、人生を豊かなものにしてほしいですね。 | 卒業後は、長崎市の職員として働く予定です。もともと公務員を目指していましたが、建築学を学んだことで働く分野の選択肢の幅が広がりました。また本学へは、大村市の自宅から通っていたため、地元・大村に愛着があることも気づきました。就職は長崎市ですが、これからも地元に住み続け、いつかは地元・大村で学んだ知識を活かしたいと思っています。 |
インタビュー
卒業生
小西 奏流 2021年3月卒業/
福岡県立福岡中央高等学校出身
株式会社西建設計
設計は、ものづくりを行ううえで欠かすことのできない分野。株式会社西建設計で働く小西さんは現在、設計者がデザインした建物の工事を実際に進めるための建築施工図の作成と修正を行う「生産設計」を担当している。施工管理者や設計者と打合せを重ね、予算や品質などを調整しながら、設計図を具体化・詳細化した施工図にまとめるという業務だ。「鹿児島市内のホテル建築の仕事を経て、今は薩摩川内市の電子部品工場の施工図を担当しています(2024年3月竣工予定)」と実績を話す。
小西さんが西建設計を知ったのは、長崎総合科学大学が主催する合同企業説明会。ブースで生産設計の説明を聞き、専門性の高い業務内容に大学での学びを存分に活かせると思い志望した。その思いは現実となり、業務では在学中に学んだ建築の基礎、そして意匠設計や設備設計、構造設計などの幅広い知識を役立てている。特に、CADを使った製図の経験は、施工図の作成で大いに活用しているようだ。仕事の満足度も高いようで、「様々な方々と協力しながら一つのものを創り上げていくのは楽しいし、建物が完成に近づいていく姿を、自分の目で見ることができるのはこの仕事ならでは」と表情は清々しい。
今後の目標は、「業務を通して知識を深め、様々な現場を経験して仕事の幅を広げること」。そして、「BIM(3次元CAD)の技術修得にも力を注ぎたい」と意欲的だ。「できれば空港や駅などの、多くの人が利用する個性的な建物を手掛けてみたいですね」。小西さんは自身の未来図を脳裏に思い描きながら、地図に残るようなビッグスケールの仕事に今日も取り組む。