総合情報学部総合情報学科生命環境工学コース

多くの情報を
分析できる
環境技術者を育成

地球規模で問題となっている環境問題を解決するためには、様々な分野の情報を集めて分析できる人材が求められています。本コースでは環境問題に必要な省エネルギー、環境分析、生態学、食品・バイオの専門分野がそろっていて、多分野にまたがる情報の「収集」と「処理」ができる技術者を育成しています。学習の中では企業と共同して新しい技術を研究することがあり、実践的な教育を行っています。
また、学んだ知識が現場で必要となる食品衛生管理者や、エネルギー管理士などの国家資格の取得を目指すことができます。

未来を創造する。
専攻コースを越えた
教育プログラム

省エネルギー工学プログラム

スポーツマネジメントプログラム

工場、ビル、商業施設等の大規模なエネルギーを消費する施設においては、エネルギーの使用の合理化等を総合的に進めるために必要な措置を講ずることが求められています。本プログラムでは、熱力学、電気工学、建築環境工学の基礎的知識を総合的に学び、施設の利便性や快適性を失うことなく省エネルギー化を進めるためのエネルギーマネジメント能力を身につけた技術者を育成します。

衛生工学プログラム

地域ビジネスプログラム

私たちの暮らしの中では、「安全な水と食料の供給」や「下水やゴミの処理」など、安全・安心な衛生的環境が必要不可欠となっています。この衛生的な環境を構築・維持するためには、化学、生物、食品、廃棄物処理や臨床医学の基礎等の幅広い専門知識が要求されるため、本プログラムではこれらを横断的に学び、活用できる人材を育てます。また、所定の科目を修得することで食品衛生管理者・監視員資格を得ることができます。

陸と海をつなぐ
循環型の環境技術


生命環境工学コースでは、環境を取り巻くエネルギーに視点を置いて、生物学・化学・物理学といった学問が多方面からアプローチすることで、様々な研究が行われています。現在、コース全体で取り組んでいる研究が、「バイオマス内の有効資源を活用した海岸海域生態系の保全に関する基礎的研究」。この研究は、陸上に擬似的な海洋環境をつくり、下水汚泥から出た肥料成分を用いて、藻類の再生を目指すもの。「具体的には、研究室の大型水槽で、海藻を培養してそのベストな条件を探り、同時に藻類減少の原因にもなる魚を飼育して生態を研究しています。そうすることで大学の前に広がる橘湾の藻場再生にチャレンジしているんです」と研究スタッフは熱く語ります。研究の成果としては、下水汚泥を処理した後に廃棄している有機性資源と処理水を活用することにより、陸と海の再生が進み、汚泥の有効活用が可能になることが挙げられます。また、海洋と環境を結びつけた新しい研究分野が広がることで、地域環境の向上につながることも期待されています。

生命環境工学コース紹介

専任教員

指導した近年の
卒業研究テーマ例など

  • 「公民館の屋根を用いた太陽光発電の普及の取り組みの調査研究」
  • 「木質・廃プラスチックを原料としたガス化技術の研究」
  • 「フンボルトペンギンの同伴睡眠」
  • 「ストレス環境下におけるプラナリアの学習能力」

4年間の学び
環境情報の収集・分析と
活用できる
技術者の育成

1年次  

1年次

「総合情報学概論」ではコースの枠にとらわれない総合情報学科の分野を幅広く学び、「生命環境工学概論」ではコースの各専門分野について学習します。また、コース専門分野の基礎として、「化学概論」、「生物学概論」、「地学概論」、「物理学概論」の講義を用意しています。特に「化学概論」は、食品衛生管理者・食品衛生監視員の資格取得を目指す場合には単位修得が必要です。

2年次  

省エネルギー、環境分析、生態学、食品・バイオの各分野に進むための必須科目を学習します。「生態系調査法」の授業では、フィールドワーク技術を修得し、パソコンでまとめてプレゼンテーションを行います。


生態系の保全とビオトープ

3年次  


栄養化学

選択分野について実験・実践を通して知識や能力をさらに高めていきます。「省エネルギー工学Ⅰ、Ⅱ」の授業は、ビル設備を対象とした実践的省エネルギー診断を学びます。「バイオテクノロジー実習」の授業では、遺伝子工学における基礎的な知識および技術を学びます。

4年次  

これまでの学びを活かして、各研究室で卒業研究に取り組みます。

授業風景

カリキュラム表

カリキュラム表

マッチングポイント

環境問題解決に取り組みたい
生物に関心がある
持続可能な社会づくりに関わりたい
バイオマスエネルギー関連に関わりたい
食品衛生に関わる仕事がしたい
バイオマス資源を活用したい

資格と支援
次の資格取得が
目指せます!

指定科目を修得すれば卒業時に取得できる資格

  • 食品衛生管理者・食品衛生監視員
  • 中学校教諭一種免許状(理科)
  • 高等学校教諭一種免許状(理科)

授業を通して関係する知識を修得できる資格

  • 環境計量士
  • エネルギー管理士
  • 甲種危険物取扱者
  • 公害防止管理者
  • ビオトープ管理士

資格取得のための支援など
本コースでは環境に関連する各分野の資格が取得できます。授業を通して資格取得のための知識を修得できるだけでなく、同じ資格を目指す学生同士が自主的に勉強会を開くためのサポートを行っています。食品衛生やエネルギー管理士の資格取得のために、医療工学コースや機械工学コース、電気電子工学コース、建築学コースなどの工学部の専門科目も受けられるのが本学の強みです。

主な就職先

  • アドバンテック(株)
  • (株)太平環境科学センター
  • 新日本空調(株)
  • (株)ウエスコ
  • 日本ステリ(株)
  • 月島環境エンジニアリング(株)
  • 協和機工(株)
  • 島原雲仙農業協同組合
  • JAながさき県央
  • 日本電技(株)
  • 高砂熱学工業(株)
  • (株)前川製作所
  • ヤシマ工業(株)
  • 長崎西彼農業協同組合
  • ウッドエナジー協同組合
  • (株)琴花園
  • 長崎三共有機(株)
  • (有)シンコー
  • 長崎船舶装備(株)
  • アイ・ケイ・ケイ(株)
  • (株)メモリード
  • 長崎県市町村職員共済組合
  • 教員

インタビュー
在学生

松永 好 3年/
瓊浦高等学校(長崎県)出身

福田 紗彩 2年/
長崎県立大村高等学校出身

地球温暖化、海洋汚染、野生動物による農作物被害、自然災害やエネルギーに関する諸問題など、日本には環境分野の問題が山積している。「将来の方向性を考えながらいろんな体験ができ、また、食品衛生管理者・食品衛生監視員の資格も取得ができるから」とコース選択の理由を話すのは福田さん。「興味のあった化学分野の専門的知識に触れ、新たな技術や知識を資格などの形にすることもできる」と力説するのは、高校時代は機械科で学んだ松永君だ。福田さんは1年次に、化学概論、生物学概論、地学概論など多様な分野の基礎知識を学んできた。動画などを使った授業もあって楽しく学べたとのことで、新発見や日常で役立つ知識もあり、将来の方向性を見つける手助けにもなったと話す。「これからは、栄養化学(3年次)など食品系の授業が楽しみ。生態系調査法、数理統計学も学んでみたい」と意欲は高い。かたや松永君は2年次の学びについて、省エネルギー分野、動物の生態分野、土壌研究分野、生物化学分野などを広く学び、配属されるゼミ選択に役立てたという。その結果、汚泥活性法やメタン発酵、木質バイオチップなどを研究する中道研究室を選択。今後は、「バイオマスエネルギー分野を研究したい」と考えている。
将来の進路だが、福田さんは食品分野を志望。「ストレス軽減や睡眠の質向上に関わる機能性食品に興味があり、がん予防食品を開発したい」と思いを抱いている。松永君は、環境分析の仕事に関心を持っているようで、「環境コンサルティングを視野に入れており、技術力をもった人材として社会に貢献したい」と話す。2人は注目度の高い生命・環境分野に軸足を置き、未来を見据えた学びをこれからも深めていく。

インタビュー
卒業生

中村 菜央 2020年3月卒業/長崎県立佐世保南高等学校出身
株式会社環境衛生科学研究所 技術部1課 所属

株式会社環境衛生科学研究所は、科学力を基盤に様々な環境の調査・分析を行う会社。中村さんはその分析者として今、水道法20条に基づく水道水質検査、ビル管理法に基づく水質検査、貯水槽清掃後の水質検査、河川や海水などの環境水や工場から出る排水などの分析に携わっている。「土壌や廃棄物に含まれる有害物質の分析も行います」と業務は広範だ。
文系出身だった中村さんは、長崎で環境に関わる仕事をしたいという強い意志をもとに生命環境工学コースを選んだという。不安もあったようだが、積極的に先生に質問したり、学習支援センターを活用したりして勉学に励んだ。4年間で指定科目の単位を修得し、食品衛生管理者と食品衛生監視員の資格を取得。志望分野への就職を実現するなど、着実に目標を達成していった。そんな努力家の中村さんが業務に役立てているのは、環境化学実験の知識。ガラス器具の使用方法や濃度計算など基本的知識に加え、CODMn法による河川水中の化学的酸素要求量の測定や細菌検査などで得た多様な知識を活用しているようだ。やりがいを感じるのは、「アドバイスをもらいながらも、自分自身で分析装置のトラブルに対応し解決できたとき」。さらには、「多くの検体が搬入された際に納期等を踏まえて仕事の予定を立て、計画通りに分析が進んだときは達成感があります」と言葉を続ける。
中村さんは、入社後に環境測定分析士3級の資格を取得。次は、「環境計量士の資格を取得したい」と前向きだ。「働きながらの勉強は大変ですが」と言う中村さんだが、これからも多くの目標や夢にトライしながら分析者として成長を続け、長崎の環境保全に貢献していく。