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「下水処理汚泥のエネルギー等への有効活用に関する実験成果報告会」を開催(4/8)

 「下水処理汚泥のエネルギー等への有効活用に関する実験成果報告会」が4月8日(木)、シーサイドキャンパスにおいて一般来場者や関係者、学生、教職員を含め約80名の参加で開催された。
 この報告会は、本学の石橋康弘教授が経済産業省「低炭素社会に向けた技術発掘・社会システム実証モデル事業」の採択を受け、北里大学、㈱九電工他2社で共同研究を進め、メタンガスを高濃度で抽出することができる研究用プラントを、長崎市の東部下水処理場の協力を得て平成21年度に処理場内に建設し、産官学連携でメタン発酵という新しいエネルギーの創出に取り組んだ研究成果を発表した。

 開会に先立ち、貴島勝郎本学学長が主催者代表の挨拶を述べた。
 はじめに石橋教授が、化石燃料の枯渇や地球温暖化等による諸問題を示し、食料資源と競合しない廃棄物を利用したエネルギーの創出について今回の研究テーマの背景を説明。下水汚泥や家畜の糞尿等から発生するメタンガスを効率よくメタン発酵させるための過程と、その精製過程に適した「好熱性細菌(MU3)」を大分県別府温泉の中から発見したこと、MU3株の培養と実験や可溶化についてデータとともに解説し、今回の研究用プラントにおいて下水汚泥から高濃度のメタンガスが発生できたことを実証した。実験では生ゴミや家畜の糞尿も対象に実験が進められ、中でも豚糞が最適であることが明かされた。
 今後は下水汚泥や蓄糞を有効な資源として、地域で活用できるシステムを構築していきたいと抱負を語った。

 北里大学中島氏は、メタン発酵における有機物の分解や仕組みについて可溶化の利点及び重要性を解説し、今回の高効率メタン発酵の大きな役割を果たすMU3株の発見から培養試験の経過と変化を写真やグラフ図をもとにわかりやすく説明し、MU3株が分泌する酵素が有機物の可溶化を進めることを表した。メタン発酵を促進するためにMU3株の複数投与とプラントの可溶化槽の運転温度について最適な条件結果を得ることができたことが報告された。

 本学大学院2年の中道君は研究用プラントについて、下水汚泥が可溶化槽・メタン発酵槽へといく過程で、メタンガスが精製される手順をビデオ映像を用いて具体的に説明した。

 また当日は、田上富久長崎市長も来学され、研究用プラントの実証報告とメタン発酵の説明を受けた。

 最後に石橋教授が、このメタン発酵システムは平成22年度も継続して研究を進めるよう経済産業省へ申請しており、今後企業と連携を進め事業化に向けて可能性を探ることも紹介された。


『下水処理汚泥のエネルギー等への有効活用に関する実験成果報告会』

◇研究成果報告
「超高温可溶化技術を利用した高濃度メタン発酵システムの実証成果報告」
  環境・建築学部 人間環境学科
   石橋 康弘 教授

「メタン発酵可溶化プロセスにおける生物叢の変化と新規微生物の検索結果報告」
  北里大学北里感染制御研究機構
   中島 琢自 研究員

「映像による実証プラント施設紹介」
  大学院工学研究科博士課程2年 
   中道 隆広

東部下水処理場にある研究用プラント

東部下水処理場にある研究用プラント

成果報告会の様子

成果報告会の様子

発表する石橋教授(左)、中島氏(中央)、中道君(右)

発表する石橋教授(左)、中島氏(中央)、中道君(右)

発表を聴講される田上市長

発表を聴講される田上市長