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第6回地域連携研究会が開催される(9/24)

 「地域連携研究会」が9月24日(金)、グリーンヒルキャンパスで一般来場者、学生、教職員75名の参加のもと開催された。
 この研究会は、本学のユニークで先進的な研究成果を広く理解していただくとともに、地域への貢献と発展を地域の方々と一緒になって考えていこうと、毎月開催されている。
 今回は新たな造船技術をテーマに3件の発表があった。

 はじめに橋本州史氏が、造船業界を取り巻く環境について触れ、経済情勢や韓国大手造船所の受注攻勢、鋼材価格の値上げ等が市場に大きく影響していることを説明、営業力を強化していることを話した。
 これらの状況を受けて今後更に成長するために、高度な省エネ技術を付加した”エコシップ”の開発に注力した「サヤエンドウ型LNG船」や「空気潤滑システム」などの新しい実用化例を挙げ、燃料費を大きく向上した成果を発表した。
 また「洋上風力発電」や「環境ビジネス」、自社開発の「造船3Dシステム」など新事業の取り組みも紹介した。環境や省エネなど時代の要望に応えた技術を船舶・海洋分野に応用した、第一線の企業活動の発表があった。

 野瀬幹夫教授は、船舶の建造に係る鋼造物や溶接部、塗装面積などの物量算定を、初期段階で見積り計算する構造設計システムの設計解析手法を飛躍的に向上させた新しい「初期構造設計システム」の研究を発表した。その開発に至るまでの内容についてグラフ理論を用い、システムにおける新たな剪断流解析法の定義を解説した。
 この初期構造設計システムを初期段階の解析ツールとして用いることにより、従来の解析手法を用いていた船価計算と比較し、計算時間の短縮と効率化により見積り精度が向上し、加えて算出コスト軽減により船価が抑制されると、新システムの利点を紹介した。

 貴島学長は、現在の造船技術は完成度が高く大幅に変えることは難しいと捉え、これからの研究開発は従来型の概念を一新し、10年・20年先に使用されるような新しい技術開発が求められていると解説。
 その研究テーマとして、人的操船と自動操船を融合させた「ハイブリッド型船舶自動航行システム」について、自動操船のカギとなる衝突回避の自動化の研究を中心に解析データと水上での実験ビデオをもとにわかりやすく説明した。課題として乗組員の省力化に伴う問題、電子通信装備の完備、積荷の安全性他が挙げられた。
 他にも海底資源を調査する「メタンハイドレート採掘用船舶の開発」、「環境考慮型船舶の開発」について研究発表があった。


【第6回地域連携研究会】

☆研究発表

1.「三菱重工業船舶・海洋分野の事業戦略と技術的挑戦」
 ~新分野の開拓および超省エネ船・環境対策技術開発~
  三菱重工業株式会社 長崎造船所副所長 橋本 州史 氏

2.「薄板構造物の新しい剪断流解析法とその応用について」
  長崎総科学大学工学部船舶工学科 教授 野瀬 幹夫

3.「ハイブリッド型船舶自動航行システムの開発」
 ~将来の造船技術について~
  長崎総合科学大学学長 貴島 勝郎


○地域連携研究会
/eco_town/

○工学部船舶工学科
http://www.ship.nias.ac.jp/

○三菱重工業株式会社
http://www.mhi.co.jp/

研究会の様子①

研究会の様子①

研究発表する橋本氏

研究発表する橋本氏

研究発表する野瀬教授

研究発表する野瀬教授

研究発表する貴島学長

研究発表する貴島学長