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長崎総合科学大学第5回公開講演会『日本を支える組込み技術』及び公開セミナーを開催(10/30)

 長崎総合科学大学第5回公開講演会『日本を支える組込み技術』が10月30日(土)、グリーンヒルキャンパスにて、一般来場者、学生、教職員を含め約110名の参加で開催された。

 はじめに貴島勝郎学長が開会の挨拶を述べ、長崎県産業労働部長の上村昌博氏と長崎市商工部次長の酒井国隆氏が来賓挨拶を述べた。

 2つのテーマで講演があり、(独)情報処理推進機構SECリサーチフェローの門田浩氏が、組込みソフトウェア産業の現状と概要について、調査結果をもとに開発環境や市場、生産性、組込みシステムで使用されている装置やOSなどの項目を例に挙げ日本と外国の違いを詳細に解説。経済危機による組込み産業の構造変革が迫られ、人材面や開発環境の課題について説明。経済危機の今だから産業構造改革を行う最適なタイミングと提示し、広い定義で分野の移行を進め、変革の方向性を述べた。

 次に、東海大学専門職大学院組込み技術研究科教授の大原茂之氏が、扇風機や自動車、携帯電話の組込みを例に、日本における組込みソフトウェア技術の強みと課題を解説した。また諸外国を対象にした設計と開発に関わる意識調査の結果をもとに、各国とも技術者のスキル向上を取り上げていることに触れ、人材育成と技能向上が注視されていることを説明。また、日本人は伝統的文化教育(武道・華道等)の影響により人材育成面からスキル向上が高く、新たな知識や開発力が古来より備わっていると分析。製造業から技術開発へと産業構造改革が進行している中、人材育成の重要性を強調した。

 続いてのパネルディスカッションでは、田中義人知能情報学科教授が司会を務め、8名のパネラーにより討議が進められた。

 はじめに各パネラーの所属する企業・団体の概要を紹介。開発環境の設備経費や企業が求める技術者としての資質について議論が及んだ。応用力を高めるため基礎学力を大学時代に徹底的に身につけて欲しい、と各パネラーから要望の声が上がった。学生に基礎学習を取り組み易くする工夫として、卒業研究を低年次から早めるなど、学生が研究・勉強したくなるような環境づくりが必要、と方向性を示した。会場からも質問が相次ぎ活発に意見交換を行った。

 また講演会に先立ち、組込み技術に関する公開セミナーを開催。4種のテーマに別れて技術開発の現場で使用されているソフトやハードを用いて専門的な講座が行われ、一般来場者や学生が参加し熱心に受講していた。


●長崎総合科学大学 第5回公開講演会

『日本を支える組込み技術』

◇基調講演
 「組込みシステム産業に求められる方向性」
 講師:(独)情報処理推進機構SECリサーチフェロー/(社)組込みシステム技術協会 専務理事
  門田 浩 氏

◇基調講演
 「組込み技術による産業構造革命の時代における大学の研究と人材育成」
 講師:東海大学専門職大学院組込み技術研究科 教授/(社)組込みスキルマネージメント協会 理事長
  大原 茂之 氏

◇パネルディスカッション
「組込み技術、いま大学に求める研究・教育は?」


◇公開講演会
http://nias.jp/public/

◇情報学部知能情報学科
http://www.it.nias.ac.jp/haci/

◇(独)情報処理推進機構
http://www.ipa.go.jp/

◇東海大学専門職大学院組込み技術研究科
http://www.u-tokai.ac.jp/kumikomi/

講演会の様子

講演会の様子

講演する門田氏

講演する門田氏

講演する大原氏

講演する大原氏

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子