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長崎総合科学大学第6回公開講演会『観光産業の活性化と地域づくり』を開催(11/13)

 長崎総合科学大学第6回公開講演会『観光産業の活性化と地域づくり』~世界遺産の位置づけ~ が11月13日(土)、長崎商工会議所にて、一般来場者、学生、教職員を含め約70名の参加で開催された。

 基調講演を、NPO法人軍艦島を世界遺産にする会の坂本道徳氏が、軍艦島(端島)の歴史と概要について炭鉱の島としての繁栄と閉山・無人島化していく過程を、炭鉱開発前から現在の上陸観光まで、写真により説明した。近隣の高島や伊王島、横島など炭坑の構造と、経済成長の中で石炭から石油へエネルギー源が移行した経過を解説した。
 坂本氏は子供時代、軍艦島に居住され閉山まで過ごされた。島では近所同士が和気藹々と生活し家族のような人間関係であったと当時の様子を振り返り愛着を持って話された。
 最近の軍艦島上陸観光について触れ、参加者のうち9割が県外者で、地元の参加が少ないことを指摘。地元の観光資源活性化、世界遺産登録活動を盛り上げるためにも地域の人々がよく理解することが必要と呼びかけた。
 最後に、廃墟となった軍艦島を、未来の日本に置き換え、資源が無くなった時我々はどう行動するか、日本が置かれている立場について課題を問いかけた。

 続いて、世界遺産登録活動に関連して、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の活動の取り組みを、林一馬教授が、ユネスコ世界遺産の登録基準等の概要を解説し、日本におけるこれまでの取り組みと登録状況、及び長崎で行われている登録への動向を紹介した。
 長崎の教会群について写真を紹介しながら個々の特徴を説明。信仰と観光を両立させ、地域づくりに向けて一体となって検討する必要があると提言した。

 パネルディスカッションでは、ブライアン・バークガフニ教授が司会を務め、4名のパネラーにより討議が進められた。
 本県で世界遺産登録活動が進行している軍艦島と教会群を中心に、地域の中での世界遺産のあり方・位置づけ、活用方法、まちづくり、観光資源等について各パネラーより発言があり、地域づくりに生かされる方法を模索した。長崎の風情が残る景観が開発により失われつつある現状に触れ、その価値を市民の中で共有し、市民意識として景観を保全していくことの重要性、などについて意見が交わされた。
 また、長崎を東アジアの巡礼地とする「長崎クリスマス(11~12月)」や、長崎単独で世界遺産へ申請する「長崎港とその周辺の歴史的地区」など、新たな地域活性策として提唱する案が示された。
 最後にパネラーから、軍艦島や教会群に是非訪れ本物を見て何を感じるか体感して欲しい、観光振興は市民が一緒になって力を合わせて欲しい、と市民参加の協力を呼びかけた。


●長崎総合科学大学 第6回公開講演会

『観光産業の活性化と地域づくり』~世界遺産の位置づけ~

◇基調講演
 「地域活性化における軍艦島の役割」
 講師:NPO法人軍艦島を世界遺産にする会理事長
   坂本 道徳 氏

◇講演
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」
講師:長崎総合科学大学環境・建築学部建築学科
   林一馬教授

◇パネルディスカッション
「世界遺産と地域づくり」
 コーディネーター
    環境・建築学部長 ブライアン・バークガフニ教授
 パネラー
    NPO法人軍艦島を世界遺産にする会理事長 坂本 道徳 氏
    長崎市文化観光部次長 外園秀光 氏
    NPO法人世界遺産長崎チャーチトラスト事務局長 榮 信歳 氏
    環境・建築学部建築学科 林 一馬 教授


◇公開講演会
http://nias.jp/public/

◇環境・建築学部人間環境学科
http://www.he.nias.ac.jp/

◇軍艦島を世界遺産にする会
http://www.gunkanjima-wh.com/

講演会の様子

講演会の様子

講演する坂本氏

講演する坂本氏

林教授の講演

林教授の講演

会場の様子

会場の様子