長崎総合科学大学 大学院 新技術創成研究所 第11回公開講演会『「21世紀の科学技術」 ~工学・科学発展の歴史と将来~』が2月5日(火)、平安閣サンプリエール(長崎市元船町)において、産学官関係者や一般市民、学生、高校教諭、大学関係者など約130名の参加で開催された。
開会に当り、貴島勝郎学長が挨拶し、地域に期待される大学の役割として、研究活動の推進とともに、先端科学技術の積極的な紹介など人材育成を通じた地域貢献を更に進めていきたい旨を述べた。
続いて、来賓を代表して挨拶があった。長崎県産業労働部次長 江村遵氏からは、海洋エネルギー・環境産業の振興を柱とした「長崎・グリーンニューディールプロジェクト」や、産業人材の育成を推進していること、また長崎市副市長 岡田輝彦氏からは、東長崎エコタウン構想による地域の街づくりを推進していることなど、本学との産官学共同の活動紹介と今後への期待が表明された。
基調講演として、小柳光正氏 (東北大学 未来科学技術共同センター(NICHe)教授・本学客員教授) が、「集積回路の歴史と将来 ~3次元LSIとスーパーコンピュータの展望~」と題し、機械式計算機から、トランジスタ、集積回路、パソコンに至るまでの研究者の発明の歴史や逸話をわかり易く説明され、シリコンバレーが決して政府の政策から生まれたものではなく、自然発生したものであり、それを作ったものは「風土、カルチャー、人」と示唆に富んだ指摘をされた。
また、現在の研究の最前線として、素子の微細加工技術の限界がみえ、素子の微細化に頼らない、LSIの高集積化、高性能化、低消費電力化を達成する、「3次元積層型LSI」の技術や、コスト削減のための正確な自動積層化技術など詳細な技術説明と将来の展望が語られた。
続いて基調講演として、浜垣秀樹氏 (東京大学大学院理学系研究科附属原子核科学研究センター教授) が、「素粒子と宇宙の始まり ~ヒッグス粒子発見までの軌跡と21世紀の課題~」と題し、ギリシア時代から始まった自然を構成する基本構成要素への人類の探求の末、「20世紀に至り、基本粒子とそれらの相互作用の理解が急速に進み、標準模型と呼ばれる枠組みが構築された」}として、現在判明している基本粒子の種類や、ヒッグス粒子までの発見の歴史が紹介された。
そして、現在考えられている宇宙の理解について、「ビッグバンに始まる宇宙」の世界や、宇宙が今でも加速度的に膨張していること、宇宙に「通常の物質の占める割合は高々5%程度で、残りは、素性の知れない暗黒物質と暗黒エネルギー」 (光学的に観測できないもの) により占められているということ、これまでの4回の相転移によって、宇宙の基本相互作用が進化してきたこと、最後の相転移から時間を遡るように数々の研究成果が得られつつあるが、最初期の相転移については、まだ殆ど分からない謎だらけというようなことで、素粒子から初期宇宙にまで広がる壮大で夢のような研究の話の連続であった。
引き続き、本学教員2件の関連研究発表があった。
電気電子工学科 清山浩司准教授からは、「立体型集積回路によるシステムの高性能化」と題し、カメラなどに使用される CCDイメージセンサーなどの基本構造の説明や、基調講演された小柳光正教授が主導開発し、研究メンバーとして参加している、3次元CMOSイメージセンサーの研究概要について一般向けに分かりやすく発表がなされた。
知能情報学科 房安貴弘准教授からは、「国際リニアコライダー計画の実現に向けた測定器開発」と題し、測定誤差の大きかった加速器(LHC、陽子と陽子(又は反陽子)を衝突させる)に代わり、ヒッグス粒子の精密測定のための、「電子と陽子」を衝突させる加速器(国際リニアコライダー、ILC)の実験に参加し、全世界で32の研究機関のひとつとして、本学が開発に参加ししている粒子検出器の構造、原理、安定性のための冷却システムの工夫、精密測定のための課題が丁寧に発表された。
□公開講演会詳細
/event/140205-2.pdf
□新技術創成研究所
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開会に当り、貴島勝郎学長が挨拶し、地域に期待される大学の役割として、研究活動の推進とともに、先端科学技術の積極的な紹介など人材育成を通じた地域貢献を更に進めていきたい旨を述べた。
続いて、来賓を代表して挨拶があった。長崎県産業労働部次長 江村遵氏からは、海洋エネルギー・環境産業の振興を柱とした「長崎・グリーンニューディールプロジェクト」や、産業人材の育成を推進していること、また長崎市副市長 岡田輝彦氏からは、東長崎エコタウン構想による地域の街づくりを推進していることなど、本学との産官学共同の活動紹介と今後への期待が表明された。
基調講演として、小柳光正氏 (東北大学 未来科学技術共同センター(NICHe)教授・本学客員教授) が、「集積回路の歴史と将来 ~3次元LSIとスーパーコンピュータの展望~」と題し、機械式計算機から、トランジスタ、集積回路、パソコンに至るまでの研究者の発明の歴史や逸話をわかり易く説明され、シリコンバレーが決して政府の政策から生まれたものではなく、自然発生したものであり、それを作ったものは「風土、カルチャー、人」と示唆に富んだ指摘をされた。
また、現在の研究の最前線として、素子の微細加工技術の限界がみえ、素子の微細化に頼らない、LSIの高集積化、高性能化、低消費電力化を達成する、「3次元積層型LSI」の技術や、コスト削減のための正確な自動積層化技術など詳細な技術説明と将来の展望が語られた。
続いて基調講演として、浜垣秀樹氏 (東京大学大学院理学系研究科附属原子核科学研究センター教授) が、「素粒子と宇宙の始まり ~ヒッグス粒子発見までの軌跡と21世紀の課題~」と題し、ギリシア時代から始まった自然を構成する基本構成要素への人類の探求の末、「20世紀に至り、基本粒子とそれらの相互作用の理解が急速に進み、標準模型と呼ばれる枠組みが構築された」}として、現在判明している基本粒子の種類や、ヒッグス粒子までの発見の歴史が紹介された。
そして、現在考えられている宇宙の理解について、「ビッグバンに始まる宇宙」の世界や、宇宙が今でも加速度的に膨張していること、宇宙に「通常の物質の占める割合は高々5%程度で、残りは、素性の知れない暗黒物質と暗黒エネルギー」 (光学的に観測できないもの) により占められているということ、これまでの4回の相転移によって、宇宙の基本相互作用が進化してきたこと、最後の相転移から時間を遡るように数々の研究成果が得られつつあるが、最初期の相転移については、まだ殆ど分からない謎だらけというようなことで、素粒子から初期宇宙にまで広がる壮大で夢のような研究の話の連続であった。
引き続き、本学教員2件の関連研究発表があった。
電気電子工学科 清山浩司准教授からは、「立体型集積回路によるシステムの高性能化」と題し、カメラなどに使用される CCDイメージセンサーなどの基本構造の説明や、基調講演された小柳光正教授が主導開発し、研究メンバーとして参加している、3次元CMOSイメージセンサーの研究概要について一般向けに分かりやすく発表がなされた。
知能情報学科 房安貴弘准教授からは、「国際リニアコライダー計画の実現に向けた測定器開発」と題し、測定誤差の大きかった加速器(LHC、陽子と陽子(又は反陽子)を衝突させる)に代わり、ヒッグス粒子の精密測定のための、「電子と陽子」を衝突させる加速器(国際リニアコライダー、ILC)の実験に参加し、全世界で32の研究機関のひとつとして、本学が開発に参加ししている粒子検出器の構造、原理、安定性のための冷却システムの工夫、精密測定のための課題が丁寧に発表された。
□公開講演会詳細
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□新技術創成研究所
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