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加藤貴大学院新技術創成研究所助手が本を出版

 加藤貴大学院新技術創成研究所助手が昨年12月、「Photochemistry and its Nanoelectronics Applications (光化学とそのナノエレクトロニクスへの応用)」という本を出版した。
 超伝導体とは一般に非常に低温で電気抵抗がゼロになる物質である。室温(298 K (25 ˚C))での実用化のための高温超伝導体の開発を目指した研究は、その学術的な視点のみならず社会にも及ぼしうる重要性から、世界中の物理学者や化学者によって長年にわたって取り組まれてきた。しかし超伝導転移温度(超伝導性が壊される温度)は一般に非常に低く、現在、最高の転移温度をもつ銅酸化物超伝導体でもおよそ135 K (-138 ˚C)程度であり、高温超伝導発現の実現が切望されている。
 本書では、著者が京都大学、マックス・プランク研究所(ドイツ、シュツットガルト)、そして本学で長年行なってきた研究の内容を解説している。特にナノエレクトロニクスの分野に関連して、光励起高温超伝導性発現の可能性についての提案に関する研究は、光化学、量子化学と物性物理学の長年の研究経験を活かして、近年(2004-2005年)、著者が本学で行なった斬新な研究であり、世界で初めて理論的に提案されたものである。本書は、この「光励起高温超伝導性発現の可能性についての提案に関する研究」が評価されて、Transworld Research Network 出版社 (Kerala)から執筆を依頼され、執筆、出版されたものである。なお、この著書の内容に関連して、Transworld Research Network 出版社から“Award of Excellence”を受賞することが決まっている。
 本書で詳しく説明されている「光励起高温超伝導性発現の可能性」における内容は、2006年7月、アイルランドのダブリンで開催された国際学会(International Conference on Science and Technology of Synthetic Metals 2006、(2000年ノーベル化学賞を受賞した白川英樹教授、アラン・マクダイアミッド教授、アラン・ヒーガー教授も組織委員会のメンバー))および2006年8月、イタリアのトリエステで開催された国際学会(Jahn-Teller Conference 2006)で依頼された講演にて紹介し、国内外の研究者の注目を集めている。

この本の詳細:http://www.ressign.com/UserBookDetail.aspx?bkid=445&catid=146
出版社: Transworld Research Network (Kerala) (http://www.trnres.com/)
出版年月: 2006年12月
価格:90 USD

加藤貴助手

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