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加藤貴助教が“Award of Excellence”を受賞

 このたび、加藤貴大学院新技術創成研究所助教が、「光励起高温超伝導性発現の可能性についての提案に関する研究」が評価されて、Transworld Research Network 出版社 (Kerala) (http://www.trnres.com/)から“Award of Excellence”を受賞した。
 超伝導体とは一般に非常に低温で電気抵抗がゼロになる物質である。室温(298 K (25 ˚C))での実用化のための高温超伝導体の開発を目指した研究は、その学術的な視点のみならず社会にも及ぼしうる重要性から、世界中の物理学者や化学者によって長年にわたって取り組まれてきた。しかし超伝導転移温度(超伝導性が壊される温度)は一般に非常に低く、現在、最高の転移温度をもつ銅酸化物超伝導体でもおよそ135 K (-138 ˚C)程度であり、高温超伝導発現の実現が切望されている。
 このような背景により、加藤貴助教は京都大学、マックス・プランク研究所(ドイツ、シュツットガルト)そして本学で長年に亘って、超伝導理論をはじめとする物性物理学の研究を行ってきた。特にナノエレクトロニクスの分野に関連して、「光励起高温超伝導性発現の可能性についての提案に関する研究」は、光化学、量子化学と物性物理学の長年の研究経験を活かして、近年(2004-2005年)、同助教が本学で行なった斬新な研究であり、世界で初めて理論的に提案されたものである。 この「光励起高温超伝導性発現の可能性についての提案に関する研究」が評価されて、Transworld Research Network 出版社 (Kerala) (http://www.trnres.com/)から著書(Photochemistry and its Nanoelectronics Applications (光化学とそのナノエレクトロニクスへの応用), 2006)の執筆を依頼され、執筆、出版し、研究業績および出版に関連して今回、Award of Excellence を受賞した。
 なお、本受賞の対象となった「光励起高温超伝導性発現の可能性」に関する研究結果については、2006年7月、アイルランドのダブリンで開催された国際学会(International Conference on Science and Technology of Synthetic Metals 2006、(2000年ノーベル化学賞を受賞した白川英樹教授、アラン・マクダイアミッド教授、アラン・ヒーガー教授も組織委員会のメンバー))および2006年8月、イタリアのトリエステで開催された国際学会(Jahn-Teller Conference 2006)で依頼された講演にて紹介しており、国内外の研究者の注目を集めている。

受賞した加藤貴助教

受賞した加藤貴助教

“Award of Excellence”表彰状

“Award of Excellence”表彰状

加藤貴助教著「Photochemistry and its Nanoelectronics Applications (光化学とそのナノエレクトロニクスへの応用)」

加藤貴助教著「Photochemistry and its Nanoelectronics Applications (光化学とそのナノエレクトロニクスへの応用)」